着圧レギンスは筋力アップや骨盤・姿勢の矯正、ダイエットなど様々な美容健康効果が期待できますが、実はリスクもあります。
正しい使い方を守り注意して使っていけば安全ですが、間違った使い方をしていると血流障害などの健康被害の危険性もあります。
着圧レギンスの間違った使い方や、どのような影響があるのかについて詳しく解説します。
過剰な加圧負荷には血液循環障害のリスクがある
着圧レギンスは、加圧トレーニングの仕組みを利用した着圧を下半身の筋肉にかけることにより、通常時よりも筋肉に負荷を与え効率よく筋力トレーニングすることができる商品です。
主に下半身ダイエットや筋肉増量のために使われ、最近では骨盤矯正にも有効性があり、男女を問わず愛用者が増えています。
しかしその一方で、間違った使い方や自分に合わないパンツを着用することによる健康被害のリスクが示唆されています。
実際に着圧レギンスが発売され、世間に浸透してきた2000年代以降、全国の消費生活センターに寄せられた衣服に関する健康被害のクレームは、ほとんどが着圧レギンスに関するものでした。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110408_1.pdfより
これを受けて、独立行政法人国民生活センターは着圧レギンスの圧力や注意表示について調査しました。
その結果、市販されている着圧レギンスにはふくらはぎ部分よりも上部の位置では、下肢静脈瘤などの治療に使用される医療用の弾性ストッキングと同程度の圧力、またはそれを超える圧力を持つものが多いことが分かりました。
医療用の弾性ストッキングは、足先から心臓への血液の戻りを助け、下肢での静脈瘤のうっ血(静脈が何らかの原因で塞がったりすることにより血液の流れが止まり停滞すること)を改善するものなので、足首部分が最も圧力が高く、上部にいくにつれ圧力が弱まっているという特徴があります。
着圧レギンスではそういった構造になっていないため、姿勢によってはふくらはぎや膝での圧力が高くなってしまいます。
実際に、椅子に座る、しゃがむなどの姿勢をとったときにふくらはぎにかかる圧力は、医療用の弾性ストッキングを上回るものがあると検証されています。
注意表示についても、ふくらはぎ部分への圧力や正しい使い方などの注意喚起が表示されていない商品もあると報告されています。
間違った使い方や自分に合っていない着圧レギンスを使用することにより、局所に過剰な加圧負荷をかけてしまうと、血管を圧迫してしまうため、血流が障害されうっ血状態を起こしてしまう危険性があります。
衣服圧による身体への影響について
衣服圧による身体への影響については、適度な衣服圧が皮下脂肪の揺れを抑えて運動しや すくする機能を持つ一方で、衣服圧が四肢にかかると皮下の毛細血管や動静脈が圧迫され、 40hPa 以上の衣服圧が大腿部 だいたいぶ や膝に加わるとうっ血状態を招き、血流障害を招く、との報告が ある(注 8)。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110408_1.pdf
うっ血状態とは?そのリスク
うっ血状態では、静脈からの血液の流れが妨げられることにより組織中に血液が留まり続けてしまいます。
うっ血状態が長く続くと皮膚が冷たくなり青く変色してしまう、チアノーゼ(青色症)という状態になります。
また、体液の循環がそこで止まってしまうため、むくみが起こったりひどい場合は組織の壊死が起こったりする可能性もあります。
ここまでに、着圧レギンスによるリスク、過剰な加圧をかけてしまうことによる健康被害の危険性について述べてきましたが、ここからは、安全に着圧レギンスを利用するためにどうしたらよいかを説明します。
正しく安全に着圧レギンスを使うために注意すべきこと
間違った使用法にともなうリスクを回避し、着圧レギンスを安全に使うためには、まず購入した商品の注意書きを確認することが基本です。
ここでは、これ以外にも注意すべきことがあるので紹介します。
長時間同じ体勢を続けない
基本的に、医療用弾性ストッキングのように足先から上部に向かって圧力が弱くなっていく構造になっていないものがほとんどのため、しゃがむ体勢や椅子に座る状態を長時間続けることは避けなければなりません。
それ以外の体勢でも、膝やふくらはぎなどが締め付けられる感覚を感じる体勢は長く続けないように心がけてください。
重ね履きなど他の商品と併用しない
圧力が弱めでサイズにゆとりのある着圧レギンスを買ったからといって、加圧ハイソックスなど他の加圧製品と併用することはしてはいけません。
重ね履きすることで足首やふくらはぎへの圧力が高まってしまいます。
折返しやまくれ上がりに注意する
日常生活の中で特に注意しなければならないのが着圧レギンスのまくれ上がりです。
着圧レギンスがまくれ上がってしまうと、その部分にかかる圧力が極端に大きくなってしまうためうっ血の危険性があります。
実際に、着圧レギンスをまくり上げて履く習慣があった利用者が健康被害を訴える事例もあります。
着圧レギンスによっては履いたままの就寝は危険
商品にもよりますが、着圧レギンスを履いたまま睡眠をとることをしてはいけません。
同じ体勢が続くことによるリスクだけではなく、体が締め付けられ筋肉に負荷がかかっていることで脳が負担を感じ、しっかり体を休ませることができません。
また、体温がより上がってしまうので眠りが浅くなってしまい、睡眠の質が下がってしまいます。
着圧レギンスの使い方について説明しましたが、正しい使い方を守る場合でも注意が必要なのが高齢者や持病を持っている人です。
高齢者や持病を持っている人が着圧レギンスを使う場合は、医師など専門家に相談してから使いましょう。
- しゃがんだままや、椅子に座った状態を長時間続けること
- 他の加圧製品と併用する、重ね履きなど過剰に圧を高めること
- 暑い、作業にじゃまだからと着圧レギンスをまくり上げて使うこと
- 睡眠中もずっと着圧レギンスを履いたままにすること
負荷をかけ過ぎない自分に合った着圧レギンスの選び方と注意点
正しく安全に着圧レギンスを利用するには、自分に合った良質な着圧レギンスを選ぶことが基本です。
使用上の注意喚起の表示がない商品は避ける
現在着圧レギンスは様々なメーカーから多くの種類が発売されていますが、その中から選ぶ上でまず使用上の注意喚起の表示がない商品は避けましょう。
理由として、先ほど紹介した「国民生活センター」から社団法人「日本アパレル産業協会」へ、下記のような要望が出されています。
- 各社が使用上必要な注意を検討し表示するように。
- 購入時に消費者が適正なサイズを選択できるよう工夫をする。
- 衣服圧の測定方法や、表示方法の統一化。
これらは2011年に提出され、現在は着圧レギンスや加圧スパッツなどを販売している多くのメーカーが対応しています。
なのに、いまだに正しい使用法や注意喚起のない商品を購入するのは、危険でリスクがあるからです。
必要以上の圧がかからないよう適切なサイズのものを選ぶ
着用した際に必要以上の圧力がかかることを防ぐために適切なサイズのものを選びましょう。
着圧レギンスはメーカーにより様々なサイズ表示がありますが、一番良いのはサイズ選択の基準がヒップ、ウエスト、足の大きさなど細かく表示されているもので、最も自分の体形に近いものを選んで購入することです。
そのため、着圧レギンスを購入する前にヒップ、ウエスト、足の大きさ、身長、体重など自らの体形把握のための数値を測っておくことが重要です。
最悪、サイズ選びに失敗してもいいくらいの気持ちで選ぶ
どれだけ慎重に検討しても、実物を見たり試着してから購入することが難しいため、なかなか自分にぴったりの商品を見つけることが難しいこともあります。
その結果、購入したあと履いてみるときつすぎるということがあるかもしれません。
ですが、その時はクーリングオフ期間中に返品するなどして、必ず適切なサイズのものを購入しなおしましょう。
間違ってもきつすぎる着圧レギンスを我慢して履き続けることは禁物です。
- 自分に体のサイズに合った良質な着圧レギンスを選ぶこと
- 使用上の注意など、注意喚起が表示されていない商品は避ける
- 商品の基準サイズがヒップ、ウエスト、足の大きさなど細かく表示されている
- クーリングオフ、返品、交換期間のあるものを選ぶ
着圧レギンスは正しい使い方をすれば美容、ダイエット効果も!?
間違った使い方をするとリスクのある着圧レギンスですが、正しい使い方を守ればリスク以上のメリットがあります。
着圧レギンスを購入する人の主要な目的はダイエット(筋力トレーニング)の効率アップだと思いますが、それ以外にも幅広い効果があります。
股関節周辺の筋肉を鍛えることによる骨盤の歪み矯正や、それによる腰痛改善、姿勢を正して美しいヒップラインを作ることができる、O脚改善やダイエット効果など様々な効果があります。
自分に合った商品を選び、正しい使用方法で安全に使用すれば、ジムや整体に通うことなく様々なメリットを得ることができる素晴らしい美容ダイエット商品です。
着圧レギンスを安全に使うための危険性やリスクについてまとめ
着圧レギンスは下半身の筋力トレーニングや骨盤矯正、ダイエットなど様々なメリットがある商品です。
ですが、自分に合っていないサイズのものを着用したり、長時間座りっぱなしや重ね履き、まくり上げなど間違った使い方をすると、うっ血状態になりむくみやチアノーゼなどの健康被害のリスクがあります。
そういった正しくない使い方をせず、ぜひ着圧レギンスの美容、ダイエット効果を満喫しましょう。